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【2025/1/30 綾瀬はるか×森井勇佑監督トークショーレポート✍︎ 】

昨年の11月8日に公開された『ルート29』。主演・綾瀬はるかさんと森井勇佑監督によるトークショーが1月30日(木)テアトル新宿にて開催されました。公開初日から2か月以上を経て、公開後の今だからこそ話せるエピソードや本作の魅力について熱く語り合い、さらにお客様からのQ&Aにも答え、大盛り上がりのトークショーとなりました。

綾瀬さんは、公開後に自身も映画館に足を運んで本作を鑑賞したそう。夜遅めの時間の上映だったとのことで「スーッと映画の世界に入れました。赤い服の女の人(伊佐山ひろ子)や高良健吾さんの親子が『不思議だな』と思いつつ見入れて、自分が演じているので、トンボがハル(大沢一菜)がいなくなって泣いちゃうシーンは一緒になって泣いちゃうし、すごく温かい気持ちになって帰りました」と笑顔で語った。

森井監督自身、綾瀬さんが演じたトンボ(のり子)という人物に強い思い入れを抱いているようで「自分で書いたんですけど、(公開後に)見ると、もう客観的に見られるんですけど『この人、面白いな』と(笑)」と綾瀬さんが体現したトンボのなんとも不思議な魅力について語る。

綾瀬さんは、トンボを演じる上で「インした日に監督が『僕は、“演じる”ということより、“そこに存在している”――そういう映画を撮りたい』とおっしゃっていたんです。アクションの練習をして積み上げていくような感じではなく、いままで自分が経験してきたことを全部、手放して『ただいる』、『考えない』という感じでした。監督の『(トンボは)持っている宇宙がすごく広い人だ』という言葉だけを大事にしていました」と明かした。

綾瀬さんは、撮影現場で監督にトンボの人物像について質問することはほぼなかったとのことで「不思議なまま『こういう世界、こういう人なんだな』と受け入れていました。客観的に見ると、すごく変な人たちだなと思うんですけど」と語り、森井監督は「自分で書いている時よりも、綾瀬さんが演じていることでどんどん面白くなっていきました」とふり返る。

印象的なシーンについて尋ねると、綾瀬さんは「ハルが高良くん(が演じた“森の人”)の息子と話しているシーンで、『お前みたいなんが学校にいたら違ったんだろうな』と言われる会話のシーンは、『あぁ、ハルみたいな友達がいたら確かにいいな…』って私も思いました。ハルって世間的な常識や『こうしなきゃいけない』ということを全然気にせずに自由で…。だからホテルで初めて不安なことを言った時『あぁ、そう思ってたんだ』と思ったんですけど、ハルみたいに生きれたらいいなと思いました」とハルのキャラクターに思いを寄せる。

トークの後半には、観客とのQ&Aも行なわれ、トンボの足をダンゴムシがはうシーンがあるが、綾瀬さんは虫は平気だったのか? という質問に綾瀬さんは「平気でした。足のどこを通るのが良いかと、何回か撮りましたけど、(ダンゴムシが足をはうのが)気持ちよかったです」とニッコリ。現場で綾瀬さんは、大沢さんと一緒に様々な虫やカニなどを捕まえて遊んでいたそうで、虫が2人の距離を縮めてくれる貴重な存在になったという。

これまで、人と必要最低限以上のコミュニケーションを取ろうとせずに生きてきたトンボが、誘拐まがいのことをしてまでハルを連れ出したのはなぜなのか? という質問には、森井監督は「運命的な“何か”を感じたんじゃないか」と語り、綾瀬さんは「のり子は人とコミュニケーションを取ることを積極的にするというより、自分の世界にいる人だから、(市川さんが演じるハルの母親に頼まれたことが)嬉しかったんですかね?」と推察。森井監督も「そう思います。ノートに『久々に人と話して、仕事を頼まれた』って書いてたので、何かに突き動かされたんだと思います」とうなずいていた。

また、映画の中で効果音が非常に印象的だが、映画の中のお気に入りの“音”について尋ねられると、綾瀬さんは、フクロウの「ホッホー」という鳴き声を挙げ「フクロウの鳴き声でハルたちと会えるので、印象深いです」と明かす。この鳴き声に関しても、森井監督は「あれは半分、俺の声なんです。2つの音を合成していて、本物のフクロウと俺の声です」と明かし、これには綾瀬さんも「すごい! 上手でした」と驚いていた。

撮影現場でのエピソードなども含め、映画についてより深く知ることができる貴重なトークイベントとなったが、綾瀬さんも森井監督もこの機会を存分に楽しんだよう。森井監督は「この『ルート29』という映画で綾瀬さんが演じてくださったのり子は、僕にとってもすごく好きなキャラクターになりました。それは綾瀬さんが現場で生み出したものだと思っていますし、いまだにどこかで生きているような感覚があり、それを切り取ることができて光栄でした」と改めて綾瀬さんへの感謝を口にする。

最後に綾瀬さんは「不思議な映画かもしれませんけど、もう一回見ると違って見えたり、言葉で言い表せないいろんなものを自然に受け取れている映画だなと私は感じています。夏の1か月ちょっと、鳥取で撮ったんですが、監督とも一菜ちゃんともずっと一緒にいて、親戚みたいな感じで、暑かったですけどヌーの大移動みたいにみんなで移動して撮りました。監督とは同い年なんですけど、同世代の監督が撮る世界に飛び込めるのが嬉しかったし、いっぱい刺激もありました」と充実した表情で語り、会場は温かい拍手に包まれた。

綾瀬はるか 大沢一菜 伊佐山ひろ子 高良健吾 原田琥之佑 大西力 松浦伸也/河井青葉 渡辺美佐子/市川実日子 監督・脚本:森井勇佑、原作:中尾太一「ルート29、解放」(書肆子午線刊)、主題歌:「Mirror」Bialystocks(IRORI Records / PONY CANYON) 企画:孫家邦 プロデューサー:近藤貴彦 波多野文郎 撮影:飯岡幸子 照明:秋山恵二郎 録音:髙須賀健吾 美術:大原清孝 音楽:Bialystocks 編集:早野亮 衣裳:纐纈春樹 ヘアメイク:豊川京子、千葉友子 VFXプロデューサー:赤羽智史 音響効果:勝亦さくら 助監督:羽生敏博 宣伝プロデューサー:尾関智美 製作:東京テアトル U -NEXT  ホリプロ ハーベストフィルム リトルモア 製作プロダクション:ハーベストフィルム リトルモア 配給:東京テアトル リトルモア 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) | 独立行政法人日本芸術文化振興会 2024/日本/カラー/ヨーロッパ・ビスタ/5.1ch/120分 ©︎2024「ルート29」製作委員会 綾瀬はるか 大沢一菜 伊佐山ひろ子 高良健吾 原田琥之佑 大西力 松浦伸也/河井青葉 渡辺美佐子/市川実日子 監督・脚本:森井勇佑、原作:中尾太一「ルート29、解放」(書肆子午線刊)、主題歌:「Mirror」Bialystocks(IRORI Records / PONY CANYON) 企画:孫家邦 プロデューサー:近藤貴彦 波多野文郎 撮影:飯岡幸子 照明:秋山恵二郎 録音:髙須賀健吾 美術:大原清孝 音楽:Bialystocks 編集:早野亮 衣裳:纐纈春樹 ヘアメイク:豊川京子、千葉友子 VFXプロデューサー:赤羽智史 音響効果:勝亦さくら 助監督:羽生敏博 宣伝プロデューサー:尾関智美 製作:東京テアトル U -NEXT  ホリプロ ハーベストフィルム リトルモア 製作プロダクション:ハーベストフィルム リトルモア 配給:東京テアトル リトルモア 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) | 独立行政法人日本芸術文化振興会 2024/日本/カラー/ヨーロッパ・ビスタ/5.1ch/120分 ©︎2024「ルート29」製作委員会