僕は、人にはそれぞれの宇宙があると思っています。人だけではなく、木にも、虫にも、あらゆる存在にはそれぞれの独立した宇宙がある。この映画で、おもにフォーカスを当てているのは、のり子とハルの宇宙です。ふたつの宇宙が出会い、共鳴し、再びはなればなれになってゆく過程を描きました。それはまるで一瞬のようだったかもしれないけれども、それぞれは、それぞれのままだけれども、そこには確かに、共鳴する瞬間があったということ。そのときふたりにはきっと、特別な時間が流れていたのだということ。そのことが、ふたりの世界との関係を、どこか祝福してくれるようなものになってくれれば良いなと、そんな願いを込めてこの映画を作りました。
森井勇佑